サイゴン大教会
2011年11月02日
19世紀末に建てられた赤レンガ作りのカトリック教会は日本のガイドブックには
サイゴン大教会と書いてありますが、フランスのノートルダム寺院系の教会の
ようです。
真ん中のマリア像は道路を隔てた広場に立っていて、何を待っているのか
おばさんたちがしゃがんでおしゃべりしていたり、所在なさそうに腰をおろしている
男性がいたりして、憩いの広場のようにも感じられます。
教会の中には誰でも自由に入れるようになっていて、地元の人や観光客が
ひっきりなしに出入りしている想像以上に大きな建物でした。
出入り口には、あのベトナム戦争の影響と思われる体の不自由な方が何人か
物乞いをしていましたが私としては数が少ない気がしました。
おそらく多くの外国人が訪れる観光の場所に、そういう人が出入りするのを
政府が規制しているのではないでしょうか。
サイゴン大教会はこれまで見たこともないほど荘厳で静謐。
中に入るとベトナム人の神父が地元の信者の方々に優しいお顔と静かな口調で
何かを語りかけていたり、
ローソクの灯りだけのほの暗い小部屋がいくつもあって、その中でキリストを
見上げながら心の内を語りかけてでもいるような中年のベトナム女性や男性、
彼らは私たちがよく見る片膝を折り両手を組んで頭をたれる祈りの姿勢ではなく
イエスの像を見上げ、人生の様々な疑問を尋ねるかのように、ただずんでいる
のでした。
私は、教会の中に入ってぐるりと歩いて、それらを見るともなく見ていただけなの
ですが、なぜか涙が溢れてしかたがありませんでした。
場の持つ神聖さなのか歴史の重みなのか宗教的な雰囲気のせいなのか
自分でも分からない感情がこみ上げてきたのです。
ホーチミンに行ったらぜひこの教会の中に入ってみることをお薦めします。